国の政策の金融緩和は、消費者金融にも影響があるんだとか。業者が潤えば、私たちももっと借りやすくなるのかもしれません。
でもそれだけでなく、何とあの総量規制が無くなる案も出ているそうです。これは関心を持たずにはいられませんね!
でもどうして今こんな話が出ているのか、ちょっと興味がありませんか?そしてもしもそれが実現したとしたら、私たちには果たして本当にメリットがあるのでしょうか?
総量規制が導入された時には、これまで借りれていたのが借りれなくなって、大変な思いをした方も居られたのでは?当時あんな大騒ぎだったのに、また以前に逆戻りするとはどういうことなのでしょう。
総量規制など貸金業法の改正はつい最近のことのようですが、先ずはその経緯をここで再度振り返ってみたいと思います。
法改正以前の消費者金融がどんなだったか、もう忘れてしまった方も居るかもしれません。今と比較して、2010年以前の消費者金融は以下のようだったのです。
総量規制の導入と同時に、法定利息も年率20%以下に引き下げらたことにもご注目ください。多くの企業はこの時点で既に現在の年率で営業していたため、金利の引き下げについては意識しない方も多かったかもしれません。
2000年時の金利上限 | 当時のアコムの金利 | 当時のプロミスの金利 |
---|---|---|
29.2% | 27.375% | 25.550% |
2010年の法改正は、貸金業界の大変革でした。利用者である私たちも、年収の1/3以上は借りれなくなった一方で、どこでも低金利で借りれるようになったというメリットもあったのです。
また以前から借りていた人達が、払い過ぎていた利息の返還請求を一斉にかけるようになったのもこの時期からでした。
今回の貸金業法改正案はまだ検討中なのですが、現段階で一体どんなものなのか見てみましょう。その内容を分かりやすく箇条書きにしましたのでご覧ください。
一見して「ちょっと想像してたのと違った」と思った方も居られるのでは?改正案において総量規制を外れるのは、ご覧の通り「認可貸金業者」だけなのです。
仮にこの改正案が施行されたとしても、「認可貸金業者」で借りない人達にとっては、今と全く変わりありません。金利も同じなら、総量規制も今同様かかってきます。
一方で「認可貸金業者」で借りたとしても、総量規制はかからなくなるかもしれませんが、場合によっては今よりも高金利になってしまう可能性もあります。
それにしても、何故あそこまで大変な思いをして施行された貸金業法に、僅か数年で規制緩和の声が上がるようになったのでしょうか?
政治家の様々な思惑は置いておくにしても、私たち利用者にとっても、総量規制の導入は必ずしもいいことばかりではなかったようです。
2010年度の法改正は、そもそも多重債務が社会的問題になったことが大きな後押しになっていました。
そして確かに法施行後、多重債務者の数は激減しましたが、それは一方で、闇金など違法業者の利用を増やす結果にもなっています。
前より借りやすくなった銀行カードローンも人気ですが、審査に通るのは一部の人達だけ。残る人達は、自己破産を決心しない限り、やはりどこかで借り続けるしかありません。
結果、以前よりソフトなイメージになった闇金や、より気軽に利用できるクレジットカードの現金化へも人々が流れるようになったのです。
金融緩和によって出てきた貸金業法の改正案は、果たしてこのような違法業者に流れる人達を食い止めることができるのでしょうか?
またそれ以外にも、新たな改正案が何か利用者にメリットになることはあるのかどうか、考えてみたいと思います。
「認可貸金業者」が総量規制の対象外となって29.2%でも貸せるようになれば、リスクの高い借り手にも融資できるようになります。その結果、これまで審査に落ちていた人でも借りれるようになるでしょう。
ならばこういう人達も、違法業者に走る必要はもうありません。確かに29.2%は今よりは高金利ですが、以下の計算結果を見て頂ければ分かるように、違法業者を使うよりはずっと低金利で済むのです。
総量規制は有無を言わさず年収額で線引きをされてしまうため、まだ返済能力に余裕があるにも関わらず、総量規制があるばっかりに借りれなくなる人も出てきます。
このような人達は、これまでは新たに銀行カードローンで申込むしかありませんでしたが、「認可貸金業者」が総量規制の対象外になれば、引き続き消費者金融で借りれるようになるでしょう。
銀行でも消費者金融でも借りれるようになれば、利用者は金利や利便性などから好きな方を選べるようになります。今よりも選択肢が増えることは、利用者にとってプラスになるに違いありません。
但し「認可貸金業者」が一体どんなものになのか、今のところ全く分からないだけに何とも言えないところもあるのですが。
総量規制のかからない業者があれば、これまで借りれなかった人が申込める先が一気に増えます。特に現時点では消費者金融での借入の難しい、専業主婦や年金生活者の方達の状況がどう変わるのかを考えてみました。
総量規制対象外の消費者金融が出現することで、これまで銀行でしか借りれなかった人達の選択肢が、今よりもずっと増えます。
現時点では、以下のような人達の借入先は主に銀行ですが、もしも改正案が通れば、アコムやプロミスといった人気の消費者金融も使えるようになるでしょう。
現行の貸金業法の下では、専業主婦がお金を借りることはそう簡単なことではありません。下表のように、本人確認書類だけで借りれるのは銀行などの金融機関だけです。しかもどの企業・どの商品でも申込める訳ではありません。
銀行など金融機関(※注) | 大手消費者金融 | 中小消費者金融(※注) |
---|---|---|
本人確認書類で借りれる | 対応していない | 配偶者の同意書なども必要 |
(※注)全ての企業・商品が対応している訳ではない
専業主婦が中小消費者金融で借りようと思えば必要書類がとても多いため、実質的に専業主婦の申込先と言えば、やはり銀行など金融機関だけということになります。
でも「認可貸金業者」で申込みができるようになれば、専業主婦も銀行カードローンでも消費者金融でも、自由に好きな方を選べるようになるでしょう。
年金のみで生活する高齢者もまた、このように現行の貸金業法の下では借り難い人達です。
銀行など金融機関(※注) | 大手消費者金融 | 中小消費者金融(※注) |
---|---|---|
申込みできる | 対応していない | 申込みできる |
(※注)全ての企業・商品が対応している訳ではない
借入先を探しまわるのは高齢者にとって結構なストレスですから、少々金利は高くても、お馴染みの消費者金融が使えれば大助かりでしょう。
総量規制の導入は多重債務者を減らすなど一定の成果はあったのもの、一部の人は現行の貸金業法のせいで、とても借り難くなっているというのは事実のようです。
でも借りやすくなれば、どうしても借り過ぎの問題は出てきます。専業主婦や年金受給者が今よりドンドン借りれるようになれば、返済できなくなる人もまた増えてくることは避けられません。
借りやすさと返済トラブルは切っても切れない関係。規制を強化しても緩和しても、どこかに不具合が生じるのは、どうやら仕方のないことのようですね。
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