家族や夫婦は本来、何でも話し合い、一番信頼し合える関係が理想です。でも長い人生の間には、やむを得ず配偶者に秘密をもってしまうこともあり得ます。秘密の種類にもいろいろありますが、借金というのもそのひとつです。
借金を抱えている側もつらいものですが、配偶者に借金があると知った方も驚きますし、大きな悲しみや不安を感じてしまいます。でも、オロオロしているだけでは状況は変わりません。
配偶者に借金があることが発覚したら、どうすればよいでしょうか。家族として何ができるでしょうか。それを考えて具体的に動くことで、不安は解消していけます。再び夫婦の信頼関係を取り戻すためにすべきことをお話していきます。
信頼していた妻や夫に内緒の借金があることが分かったとき、誰でもショックを受けますよね。
晴天の霹靂というケースもあれば、「薄々は気づいていたけど…」という人もいることでしょう。でも、どちらにしても、今後のことを考えていかなければならないのは同じです。では、どんなことをしていけば良いでしょうか。
まずは、配偶者の借金が全部でいくらあるのか、それを確認しないことには始まりません。相手を責めたくなる人もいるでしょうが、怒りを爆発させてしまうと、ますます借金を隠されてしまうおそれもあります。まずは冷静に話し合いを始めましょう。
とりあえず確認すべきことは、以下のようなことです。
どれも大切なことなので、うやむやにしてはいけません。借入総額がどれくらいかによって、今後取るべき対策も大きく違ってきますので、必ず総額を確認しましょう。複数の業者に渡っている場合は、業者名やそれぞれの借入額も確認します。
配偶者に借金が発覚したときに非常に重要なこととして、自分が連帯保証人にされていないかを確認すべきということが挙げられます。同意の上で連帯保証人になったのなら、配偶者の借金を自分が肩代わりしなければならないことにもなり得ます。
もしも連帯保証人になっていても、無断でされた場合は配偶者には返済の義務はありません。ただし、連帯保証人になるということを知っていれば、もちろん後から「勝手にされた」といってもダメです。
知らなかったケースでも、「配偶者が自分を連帯保証人にしたことを、全く知らなかったということ」に対して落ち度がないということを、証明しなければなりません。
これについてはひとつ屋根の下に住む夫婦の場合、なかなか難しいので弁護士などの専門家に相談することをオススメします。本当に無断で連帯保証人にされたのであれば、諦めて代わりに返済などしてはなりません。堂々とその旨を主張しましょう。
また、ご自身ではなくても親戚や友人などが連帯保証人になっていないかどうかも、合わせて確認する必要があります。そうなっていたら、先方に連絡を取って今後のことを話し合う等したほうが良いケースもあります。
また、使い道やいつから借りているのかといったことも、お話する必要があります。借入額によっては完済の目途がついていることもあるでしょうから、それなら大した問題はないかと思います。
しかしその場合も、借りたお金を何に使ったのか、なぜ配偶者である自分に内緒にしたのかという点については要確認です。
今後の家族のあり方を見つめなおすという意味においても、ぜひ冷静にお互い正直に話し合ってください。
配偶者の借金の全貌が見えてきたら、次にやるべきことは返済に向けて現実的に考えることです。実際はどんなことをすればいいのか、また、万が一のときは借金がどうなるのかなど、順番に見ていきましょう。
前章でも触れましたが、同意の上で連帯保証人にでもなっていない限り、配偶者の借金をご自身が返済する義務はありません。ただし、これは法律的には返済の義務がないという意味です。
わが国の民法752条には、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という定めがあります。また、夫婦には「扶養の義務」というものがあり、お互いに同一水準の生活を保障する義務があります。
したがって、夫婦の一方のみが借金の返済で首が回らない状態で、もう片方が優雅な生活をしているのは、夫婦の形としては適切でないわけです。
というわけで、法的な返済義務はないものの、借金が判明したらまずは夫婦で協力しあって返済に向けて動くというのが、社会的に期待される形と言えます。
夫婦が共に協力し合って借金を完済するのがもっとも理想的ではありますが、そうもいかないケースもあります。離婚を選択することになった場合は、どうなるのでしょうか。
借金を理由に離婚したいという場合、相手方も同意すれば問題なく離婚が成立しますが、相手が離婚を望まない場合、協議や調停が必要となります。その際、相手の借金を理由に離婚が認められるかどうかは、微妙なところです。
また、離婚が成立しても財産分与という問題もあります。結婚生活において作られた財産は負の意味をもつものであっても、つまり借金であっても分与の対象になることがあります。
借金の目的 | 離婚 | 財産分与 |
---|---|---|
浪費・ギャンブル等 | 認められる可能性大 | 対象にならない |
生活費 | 相手方の同意がないと難しい | 対象になる可能性がある |
どうなるかはケースバイケースですが、借金の使い道によって判断されることが多いようです。生活に必要なお金だったのであれば、たとえ秘密の借金でも離婚理由にするのは難しく、また離婚できても財産分与の対象になりがちと言えます。
つまり、配偶者が残した借金を引き継いで、返済していかなくてはなりません。ただし、相続を放棄することも可能です。正の財産よりも借金などの負の財産が多いのであれば、相続放棄を検討しても良いと思われます。
ただし、時間制限があります。亡くなった日から3か月以内に、相続放棄を家庭裁判所に申し立てなければなりません。配偶者が亡くなると、やるべきことが非常に多くて忙しいものです。放棄したければお早目に手続きを取りましょう。
配偶者の借金に関して、本来は夫婦ともに協力し合って返済していくことが望ましいことをお話しました。また、離婚なども含めて様々な手段があることもお伝えしました。
しかし、夫婦で話し合っても返済が難しいという結論に達することもあるかと思います。そんな時には、また別の手立てがありますので、それをご紹介していきます。
お金の話は非常にシビアなものですから、生活が苦しくて返済のめどがたたないと絶望してしまうことも多いものです。でも、諦めないでください。力になってくれる専門家がたくさんいます。
これらの専門家や相談窓口は、借金に関する相談に広く対応してくれます。法テラスや国民生活センターは、相談だけなら無料でできます。また、市町村が行っている法律相談など、弁護士に無料で相談できる機会もありますので、うまく活用してみてください。
本来、借りたものは返すのが筋ではあります。ですが、夫婦で家計管理を頑張ってもどうにも返済できないことも、時にはあるでしょう。そんなときは、債務整理という手段も考えてみましょう。
債務整理には、いくつかの方法があります。以下に簡単にご紹介します。
方法 | 内容 |
---|---|
過払い金請求 | グレーゾーン金利の時代に 払い過ぎた金利が還ってくる |
任意整理 | 裁判所を通さずに返済額を減らせる |
個人再生 | 裁判所を通じた手続きにより、住宅などの 財産を所持したまま返済額を原則1/5に減らせる |
自己破産 | 裁判所を通じた手続きにより、 住宅などの財産を手放すかわりに借金がゼロになる |
このように、借金を減らす手段も色々とありますので、夫婦でよく話し合ってから専門家に相談し、家計再建に向けて具体的に頑張っていきましょう。
配偶者に秘密の借金があると分かったら、誰でもショックだし大きな不安を抱えることになります。しかし、現実的に対処していかないと、状況はどんどん悪化しかねません。
夫婦で協力し合って借金を返済していくのが一番ですが、難しければ過払い金請求や債務整理など、負担を軽減できる手段もあります。ですから、あまり不安になりすぎる必要はありません。
何よりも大切なことは、今後、内緒の借金を繰り返さないようにすることです。何でも話し合って協力し合える夫婦関係を築くために、秘密の借金があったことさえも良いきっかけにしていけるといいですね。
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