昔に比べてよく見るようになったのは「大きな会社の倒産」です。一昔前には銀行が倒産したり合併したりと大騒ぎになりましたよね。
カードローンを扱う消費者金融も、法律の改正などに伴って多くの会社が倒産してしまった時期がありました。
最近ではそのようなことは少ないですが、例えば「株式会社パブリック」のように、借りていた先が倒産してしまった場合、お金を借りているわたしたちはどうすればいいのでしょうか?
あまり知らない、「お金の借り先が倒産したらどうなるのか?」という点について今回は説明したいと思います。
仮にあなたが「株式会社パブリック」からお金を借りていたとしましょう。
昔の消費者金融なので知っている方は少ないと思いますが、株式会社パブリックは2001年に「株式会社クレディア」に吸収合併されました。
つまり、パブリックという会社はなくなりクレディアという会社になってしまった…ということです。そんなとき、わたしたちはどうすればいいのでしょうか?
…実は、わたしたちは基本的に何もする必要はありません。
パブリックから借りているときは、債権者はパブリックでした。つまり、パブリックに借りがある状態ですね。それが株式会社クレディアと合併し、パブリック自体はなくなってしまいました。
なくなってしまったものの、株式会社クレディアが債券業務を受け継ぐため、「パブリックからお金を借りていた」という状態から「クレディアからお金を借りている」状態に変更されます。
とはいえ、新たになにか契約するということはありません。郵便などでお知らせが手元に届くと思いますが、それだけで自分たちで手続きを行ったりする必要はゼロ。
繰り返すようですが、債権者がパブリックからクレディアに変更されただけですね。
次に気になるのが、会社が倒産したりしたら借金を返済しなくてもよくなるの?という疑問。これは多くの方が持つようですね。
確かに返すべき会社がなくなってしまったら、借金も返済しなくて大丈夫!とついつい思ってしまいがちです。しかし、そんな甘いことは残念ながらありません。
とっても残念ですが、借りているお金を返さなくていい、ということはありません。パブリックの場合はクレディアが受け継いでいますから、クレディアに対して返済を続けていくことになります。
しかし、返済の対象となる会社が変わったことで、ちょっとした変化が起こる場合はあります。
すべてのケースでこうなるとは言えませんが、たまに返済する総額が減額されることがあるようです。
これは、債権を引き継ぐ会社が安く債権を入手した場合に起こる可能性があります。例えばもともとは1億円分の債権を8000万円で購入したため、一人ひとりの返済額を少しずつ低くしても十分に回収が可能と踏んだ…といった場合ですね。
とはいえ減額されるケースはあまり多くなく、されたらラッキーくらいの気持ちでいたほうが良さそうです。
もともとの利用者にとって都合が悪い変更がされることもあります。
例えば今まではATMからの返済がOKだったのに、倒産・引き継ぎによって銀行口座からの引き落とししか返済に対応できなくなったり、はたまた一括返済を求められることもあります。
返済方法の変更ならまだしも、一括返済というのは非常に厳しいですよね。「流石に一括返済はムリ!」という場合、現在の債権を預かる会社(今回の例の場合は「クレディア」ですね)に対して和解を求めることが出来ます。
和解というと借金がなくなるようなイメージがありますが、返済方法について相談し、どうにか分割で払わせてもらえないかとお願いするような感じですね。
債権を持っている会社としても分割でも返済してくれるほうがありがたいので、多くの場合は和解が出来るかと思います。
それでは、会社が合併されて債権が引き継がれる…ということはなく、そもそも会社が倒産してしまったらどうなるのでしょうか。
先ほどから例に出している「株式会社パブリック」の場合、2001年に「株式会社クレディア」に吸収合併されましたが、その後2008年に民事再生を行っており、事実上廃業となっています。
その後、全事業を「株式会社フロックス(のちにクレディアに変更)」に継承しましたが、2015年に正式に貸金業を廃業しています)
借りている会社が民事再生…事実上倒産してしまった場合、お金を借りている側はどうすればいいのでしょうか。
借りていた会社が倒産してしまった場合も、特に債権が別の会社に移動した時と変わることはありません。
返済方法が変わる可能性や、一括返済の時は減額される可能性など、先ほど説明したものと同様であると考えていただければ問題ないと思います。
ただし、場合によってはちょっと面倒なことをしなければならないこともあります。
特に昔からお金を借りている場合に多いのですが、その会社にお金を払い過ぎな可能性があります。一時期話題にもなりました「過払い金」ですね。
そもそも過払い金とは、本来設定されるべき金利よりも高い金利、通称グレーゾーン金利でお金を借りていた場合、適正の金利で計算した金額と大きく差が出ます。その差額が「過払い金」となります。
「利息制限法」という法律では、銀行であっても消費者金融であっても、これ以上の金利でお金を貸してはならないよ、と決められているのですが、その法律に違反したからといって罰則はありませんでした。
対して、「出資法」という法律では違反すると刑事罰が適用されるものの、利息制限法をはるかに超える高い金利が上限となっていました。
そのため、法律の違反がない「利息制限法」によって定められた金利を超えて、かつ「出資法」よりも低い金利である「違反しているけれど罰則はない」グレーゾーン金利でお金を貸している業者がほとんどだったんです。
具体的な数字は以下のとおりです。2010年の6月、法改正によりこのような金利でグレーゾーン金利は廃止(違法)とされ、現在はこの金利で借りることはありませんが、法改正以前よりお金を借りている方は金利がこのまま…という可能性もあります。
元金 | 利息制限法の 上限金利 |
出資法の 上限金利 |
グレーゾーン金利 |
---|---|---|---|
10万円未満 | 20% | 29.2% | 20%~29.2% |
10万円以上100万円未満 | 18% | 29.2% | 18%~29.2% |
100万円以上 | 15% | 29.2% | 15%~29.2% |
自分はどれくらいの金利でお金を借りていたのか、契約書などをチェックしてみましょう。もし金利がグレーゾーンのものであり、多く返済しすぎていることがわかったら返還請求を行わなければなりません。
仮に倒産した消費者金融に対して過払いがありそうな場合、手早く返金手続きを行わなければなりません。
とはいえ、電話で「過払いがあるようなので返金してください」といっても門前払いをくらいます。きちんと手順を踏んで請求する必要があります。
まず最初にすることは、借りている会社(今回の例で言えば「クレディア」)に対して「取引履歴」の開示を要求しましょう。取引履歴請求書という書類を作成し、会社に対して送付するだけでOKです。
インターネットで調べればテンプレートも出てきますので、書き方がわからない…という方はそういったものを利用すれば簡単に作成できます。
多少時間はかかりますが、「送らない」という選択肢をすると損害賠償請求の対象になるため多くは送ってきてくれます。ただし請求されないためにすごく時間をかけてくる業者も中にはいるようです。
取引履歴が手元にきましたら、お金の借入日や返済日から正確な支払金額を計算していきます。こちらもインターネット上で計算ソフトが無料で提供されていますので、自分で簡単に計算することが可能です。
もちろん、これら一連の流れを弁護士や司法書士に依頼してお任せすることも出来ますが依頼料がかかります。成功報酬として返してもらった過払い金の10%~20%支払わなければいけないこともありますので、できるだけ出費は控えたい!という方は自分でやるのがオススメです。
特に難しい!ということはありませんので自分でやってらっしゃる方も多いです。
引直し計算を行い、本来支払う必要がなかった過払い金があった場合は、過払い金請求の訴訟を行うことになります。
訴訟の前に会社と話し合うことで和解となったり、訴訟を起こさずとも過払い金の返還をしてくれる場合もありますが、和解などの場合本来受け取るべき過払い金よりも低い金額を提示されることもあるようです。
満額きちんと欲しい!という場合(本来支払うべきでなかったのですから当たり前ですが)は裁判所を通じて会社に訴訟を起こすことになります。
過払い金請求の訴訟に必要なものは
名称 | 説明 | 必要数 |
---|---|---|
訴状 | 裁判をするために必要なもの。 | 2枚 |
証拠説明書 | どうしてその書類を提出したのかの 証拠となる説明書。 (取引履歴はなんの証拠として提出するのか、など) |
2枚 |
取引履歴 | 業者との取引がどのように行われていたか 証明するために必要なもの。 |
2枚 |
過払い金の再計算書 | 引き直し計算を行ったもの。 過払い金がいくらか証明するために必要。 |
2枚 |
登記簿謄本 | 貸金業者のもの。 | 2枚 |
この5種類となります。費用は請求金額などによって変動しますが、4~5万円もあれば十分お釣りが返ってくるくらいと思ってOKです。
クレディアのように倒産してしまった場合、できるだけ早く過払い金請求を行ったほうがいいのには理由があります。
その大きな理由は
この2つです。
どうして会社は倒産するのでしょうか。それは、資金繰りがうまく行かなくなったから…ですよね。
お金が無くなったから会社を維持することができなくなった。非常にシンプルな理由ですが、それは会社にはもう体力がほとんどないことを意味します。
そんな状態の時に返金請求が行われてもきちんと返金してくれるかどうか…と想像することが出来ませんか?
今回の例である「株式会社クレディア」の場合、債権届出(過払い金請求)があった場合
としていました。少額の過払い金であれば全額弁済できますが、過払い金が30万円を超えた場合100%で戻ってこないことを示しています。
本来は自分の元に戻るべきお金が全額戻ってこないというのはちょっとイヤですよね。できるだけ早く過払い金の請求を行うことで、弁済金の減額を防ぐことが出来ます。
仮に2008年にお金を借りていたとしても、過払い金の請求が出来るのは2018年まで。そう考えると、そんなに遠くない未来に過払い金請求ができなくなると言っても過言ではありません。
過払い金請求の時効の起算日は取引終了時点からとなっていますが、必ずコレ!といったものはないのが実情です。
例えば最初に借りたお金を3年間かけて完済し、その1年後に新たに借り入れをした場合、新たな借り入れについては(過払い金があるばあい)請求の対象となりますが、最初の借り入れは時効と判断される可能性もあります。
また、借りたお金を完済して10年が経過したとしても、その消費者金融との契約を解約していない場合「取引が続いている」と判断され、過払い金請求が有効になることもあるようです。
このあたりはお金を借りた時期や返済するまでの期間、そして裁判所の判断に委ねられる部分が大きいので、必ずこうなる!といったことはなさそうです。
少々話を広げてしまいましたが、今まで借りていた会社が倒産した、他の会社に吸収合併されたとしても基本的に何か特別なことをしなければならない、ということはありません。
また、借金が減額される可能性もあるものの、返済する義務がなくなる…ということもありません。
必ず連絡が来ますので、今後の返済をどのようにしていけばいいかなど、わからない場合は問い合わせてみることが大事です。放置していると延滞とみなされてしまう可能性もあります。
ただし、過払い金があるかもしれない、という方はゆっくりしていられません。過払い金は「本来支払わなくてもよかったお金」なので、そのままにしておくのはもったいない!
しかも先ほど説明しましたように、請求の時期が遅れれば遅れるほど返ってくる金額が少なくなってしまう…ということも。お金を取り戻す気があるのであれば、すぐに行動を起こしましょう。
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